深草図書館では、「やさしい日本語」基礎講座を実施しました。全4回(6月6日、7日、13日、14日)の実施でしたが、40名を超える参加者があり、当初予定していたよりも、このことに関する学生さんの関心の高さが窺えました。講座開講後に、ちょうど大阪北部地震が起きました。地震の当日はニュース画面にも、「電車の運転見合わせ」の情報が出ていましたが、たとえばこの「見合わせ」といった表現も、日本語に慣れていない外国の方には、理解しにくかったのではないでしょうか。「やさしい日本語」の重要性について、あらためて考えさせられることとなりました。
今回の講座を実施していただきました近藤正憲先生から、下記のとおり講座を終えられての一文を寄せて頂きました。「やさしい日本語」の世界を、これを機会に多くの学生さんに知って頂ければと思います。
☆近藤先生からのお薦め本
『やさしい日本語 : 多文化共生社会へ』庵功雄著. 岩波新書、 2016
https://opac.ryukoku.ac.jp/iwjs0005opc/BB21629708
「やさしい日本語は日本を救う」近藤正憲
今回日本人学生の皆さんに「やさしい日本語」についてのお話をさせていただく機会をいただき、ありがとうございました。
毎回10人を超す参加者に恵まれ、若い皆さんから関心を持っていただいたことを大変うれしく思いました。
「やさしい日本語」とはそのままでは理解しにくい日本語を人為的な加工を施して誰にでも理解しやすい情報を提供する試みです。
今の私たちの身の回りには外国人がたくさんいます。繁華街に行けば多くの外国人観光客がいて、コンビニにはアルバイトの留学生がいる。そのような環境が、もはや当たり前になってきています。また、私たちの食生活や消費生活を成り立たせている生産現場、建設現場、介護や医療の現場には、欠くことのできない存在として外国人の労働者が存在しているのです。そして、こと日本国内の定住外国人についていえば、英語よりも日本語のほうが理解しやすい言語なのです。
「やさしい日本語」の実践は日本人自身が日本語と言う母語を使って、今まで意思疎通ができなかった人とコミュニケーションする方法です。これは日本語母語話者にとっては難解な外国語を身につけるような難行苦行ではなく、間違いなく「易行」です。
「やさしい日本語」は外国人だけではなく情報弱者である年少者、高齢者、障害者にもやさしく、当然ながら健常者にとってもやさしい日本語です。そして「やさしい日本語」は「やさしい日本人の心の中」にあります。
これからも、ぜひ多くの皆さんに関心を持っていただきたいと思います。