新入生の皆さんへ”本を読む意義”

新学期となりました。しかし新型コロナウィルス感染拡大により、新入生の皆さんにとっては思いもよらぬ大学生活のスタートとなってしまいました。授業もすべてオンラインによるもので自宅待機を余儀なくされています。自宅で多くの時間を過ごす今だからこそ、本を読むことに勤しんでほしいと思います。1冊の本との出会いが自分にとってのかけがえのない出遇いとなることもあるでしょう。

皆さんもよくご存知の短編に芥川龍之介作『蜘蛛の糸』 があります。声に出して読んでみるのもいいかもしれません。試しにカンダタを「私」に置き換えて読んでみてください。すると一層情景が浮かんできませんか。 また文章の行間から伝わるものがあります。自我、自分とは一体なに?という問い。 

 『蜘蛛の糸』巻末の解説[①]を参考にすると、この話は脱稿 (1918年)の20年程前に日本で翻訳された米国の作家ポール・ケーラス著『カルマ』を材源としており、ロシアのドストエフスキーが1890年に出版した長編『カラマーゾフの兄弟』第7編第3 「 1本の葱(ねぎ)」とストーリーがそっくりであることが分かります。

『蜘蛛の糸』では葱が糸に、悪女がカンダタになっている違いはありますが、この2つの話からは共通のプロットが読み取れます。
プロットの意味するもの、そしてその奥にあるテーマは何か?という問い。

このような様々な問いから思考が深まり繋がり、更なる領域へとリンクして読書に幅が出てくるでしょう。 在学中に幅広く本を読み、また専門分野を学究することで、 問いを重ね自らを見つめてほしいと思います。 

 本学の蔵書数は実に 220万冊を超えます。 図書館の閉館中は自宅から3万タイトルの電子書籍(図書館ホームページ自宅から利用できる図書館サービス→学外から電子書籍を読む方法[②])を閲覧することが可能です。
また、図書館報「来・ぶらり」[③]には学内の先生による本学図書館のことやお薦め本が紹介されていますので、こちらもぜひ見てください。 また図書館でお会いしましょう! 

[①] 芥川龍之介『蜘蛛の糸杜子春』新潮社,97,159180,(「三好行雄著「芥川龍之介 人と文学」昭和4310,国文学者」)
[②]
動画説明が分かり易く便利。 https://opac.ryukoku.ac.jp/online/all/ebook/index.htm
[③] https://library.ryukoku.ac.jp/?page_id=271

図書館長 道元徹心
是非、読んでほしい「お薦めの50冊」を選びました。
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