本号は、全体をとおしてコロナ禍を振り返ることを編集のコンセプトとしています。
このため、この「龍大生のお薦め本」のコーナーでも、コロナにまつわる内容を盛り込むことを基本とし、コロナに関する本、コロナ禍の間に読んだ本を取り上げました。
高嶋哲夫 著、講談社 2013年
深草図書館 .和顔館開架2F 913.6/タテシ
資料番号:12300019300
元WHOの職員で、感染症対策の専門家として活躍していた主人公、優司は娘の死や妻との離婚をきっかけに、罪の意識に苛まれる日々を送っていた。そんな中、中国で致死率60パーセント以上の新型インフルエンザが発生する。新型インフルエンザ対策本部のアドバイザーとして呼ばれた優司はウイルスから人々を守ることができるのだろうか。
本書は、2013年に書かれた小説ですが、その後実際に起こるコロナ禍を予言しているかのようなリアルな物語の展開で、読んでいるときの臨場感に引き込まれ一気に読んでしまいました。政治家たちがどのような対策を講じるのかも見どころです。
さらに、この小説は単純に娯楽小説としても面白いのですが、専門用語の解説が物語の中で自然に織り込まれており、分かりやすく感染症の知識を身につけることもできます。コロナ禍を経験した私たちだからこそぜひ読んでほしい一冊となっています。
文学部 2年生 佐伯 和真
青山美智子 著、宝島社 2019年
深草図書館 .和顔館開架2F 913.6/アミモ
資料番号:12300019297
緊急事態宣言により自宅待機を要されたコロナ禍当時、誰もが人との関わりを断たれたことにより繋がりを忘れ、温もりを忘れてしまっていたのではないでしょうか。この物語はそんなコロナ禍当時に忘れてしまっていた感情を思い出させてくれる温かさがあります。
川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店で出された一杯のココアから始まる、東京とシドニーを繋ぐ12編のストーリー。その一つ一つには色が使われ、鮮やかに彩られています。本書は小さな出来事や人との繋がりがやがてひとりの命を救います。人との関わり合い、繋がり合いによっておこる人の温かさを感じ、大切さを知ることができる物語です。
一見変わったタイトルですが木曜日に出されるココアから始まる人と人との繋がりはきっとみなさんの心も救われるのではないでしょうか。是非ココアを片手に読んでみて下さい。もしかしたらその一杯が世界と繋がっているかも知れません。
心理学部 1年生 篠川 倖
外山滋比古 著、筑摩書房 1983年
深草図書館 .和顔館開架B1 141.5/トシシ
資料番号:18741569241
「あなたがしたいことはなんですか?」多くの学生が一度は問われたことがあるだろう。しかしその多くの人は、どう答えていいのかわからないのではないだろか。「別にやりたいことはない、とりあえず大学に進学しただけ。」そう答える人は少なくないだろう。しかしこれからはさらにコンピュータが台頭し、単純化された職は奪われかねない。そこでコンピュータに負けない創造的人材になるために学生は日々何を学び、どう生きればいいのか。そんな提案をしてくれるのが本書である。私は日々“考える“ことの大切さを学んだ。
卒論を書くために日々心に留めておくことから創造的思考力を養うことに至るまで、内容は実用的なところから観念的なところにまで及ぶ。
難しく考える必要はない。とりあえず手に取って読んでみる。そうすると日々の生き方、残りの学生生活がちょっとだけ有意義な方向に変わるかもしれない。
経済学部 2年生 青木 愛海
藤田紘一郎 著、光文社 2017年
深草図書館 .深草.文庫・新書 081/コウフ/922
資料番号:11700041522
私たちは清潔であろうとしますが、私たちの体にとって良いことなのでしょうか。私たちの体には様々な菌が存在していて、その中には私たちを助ける菌も多く含まれています。しかし私たちの使う洗剤はそれらすらも洗い流してしまっているかもしれません。
病気にならないようにする免疫力は菌と触れる中で身に付いていきます。しかし現代では菌と触れる機会を忌避する傾向にあります。皆さんも少しでも手が汚れた時、すぐに洗剤などで洗っていませんか。それにより私たちの免疫力は無くなっているかもしれません。また体の洗いすぎも気をつけなければなりません。皮膚にいる常在菌は悪い菌をつきにくくしたり、皮脂の調整などをしてくれています。
この本のタイトルを見た時、コロナウイルスの影響で清潔であることを心がけていたので驚かされましたが、本を読んでいる中で納得できる部分が多くありました。ぜひこの本を手に取って今一度「清潔さ」について考えてみませんか。
経営学部 3年生 松本 晴陽
早見和真 著、新潮社 2021年
瀬田図書館 .瀬田.本館B1開架 783.7/ハカア
資料番号:32105015465
新型コロナ感染拡大の影響により中止になった2020年夏の甲子園。高校球児の夢、目標として絶対的な存在であったものが一瞬にして消えてしまった。
本書では、小さな頃から夢を持つ事ことの尊さを教えられ、その夢を奪われた瞬間「気持ちを切り替えろ」と言われた高校球児たちと、積み上げてきたものが通用しない夏で迷い、悩んだ監督たちが何を感じどう振る舞うのか、何を失い何を得たのか、特別な夏の意味がノンフィクションで描かれている。一人一人の立場や抱えているものによってそれぞれ受け止め方は違い、泣いて終わった選手も、笑って終わった選手もいる。「あの夏の正解」が何だったのか、それは今でも誰も分からない。ただ、可哀想という言葉では片付けられないほど選手たちの受け止め方は奥深く立派なものであった。
高校野球のためでも球児のためでもなく、パンデミックに翻弄され、あるべきはずの日常を奪われたすべての人に読んでほしい一冊です。
法学部 2年生 北島 京香
奥田英朗 著、文藝春秋 2023年
深草図書館 .和顔館開架2F 913.6/オヒコ
資料番号:12300019286
直木賞を受賞した『精神科医 伊良部シリーズ』17年ぶりの新刊です。
主人公の伊良部一郎は日本医師会の理事を父に持ち、色白デブでマザコン、注射フェチの精神科医です。コロナ禍に上京したため人と直接会うことに恐怖を感じるようになった大学生や、うまく怒ることのできない会社員などさまざまな悩みを抱えた患者たちを、今回もめちゃくちゃな方法で治療していきます。
本書の魅力はそのばかばかしさにあります。コロナ禍をものともしない伊良部先生の奇行の数々は一見治療とは何の関係もないように感じられますが、彼の姿に戸惑い、翻弄されていくうちに、いつしか患者だけでなく、読者も一緒に癒されていることに気づくのです。
この本を読むことで、何かとストレスの溜まりやすい現代社会を上手く生き抜いていくための活力が身につくはずです。前作未読でも充分に楽しめる内容なので、ぜひ読んでみてください。
政策学部 2年生 石尾 空良
『リモートワーク時代を乗り切る思いやりオンラインコミュニケーション』
ディーセントワーク・ラボ〔編〕 中尾文香, 片山優美子, 岩田直樹 著、風間書房 2021年
深草図書館 .和顔館開架B2 366.28/ナアリ
資料番号:12105005047
コロナ禍で人と直接関わることが減り、いざ会話するとなると「コミュニケーションってどうやってするんだっけ?」と戸惑いを感じた経験はありませんか?
オンラインはオフラインで話すのとは少し状況が異なってきます。例えばオンラインでは直接会わないため、ちょっとした相手の仕草や表情の変化には気づきにくいという点があり、伝えたいことを正確に言葉にしなければなりません。
しかしオンラインだからこそ、オフラインではできない強みもあるのです。
この本はオフラインとオンラインのそれぞれでの会話の特徴や、オンラインでの相手の見え方や会話の広げ方を、分かりやすい図とともに教えてくれます。またオンラインに限らず、会話とは何のためにするのか、職場の方や障がいを持った方との対話の進め方など、あらゆる場面で使える上手なコミュニケーションの方法を知ることが出来ます。
コロナが収束しつつある今も、オンラインを1つのツールとして上手に楽しく対話できるものにしてみませんか。
国際学部 3年生 木川 佳苗
『AIが職場にやってきた 機械まかせにならないための9つのルール 』
ケビン・ルース著、田沢恭子 訳、草思社 2023年
瀬田図書館 .瀬田.本館2F開架 007.1/ルケエ
資料番号:32305005822
皆さんは、コロナ禍の前と後の生活で何か変化したことはありますか?私は、以前の生活よりも「AI」という言葉をよく耳にするようになったと思います。AIによる仕事の自動化などいたるところでAIを活用するようになったと思います。それと同時に、「もし、AIが人間以上の仕事ができるようになってしまったら、人間の仕事がなくなるのでは?」ということ不安感を抱いた人もいると思います。
本書では、もしAIが職場に取り入れられるとどうなるのか、AIによって私たちの仕事は奪われてしまうのかということについて2部に分けて解説します。第1部では、現状のAIの自動化による社会への影響について、歴史的な背景を基に紹介します。第2部では、職場にAIが導入された時にどのようにすれば効率よくAIを活用した仕事ができるのかについて紹介します。この本を読んで、将来について考えてみてはいかがですか。
先端理工学部 4年生 泉 結貴
河合雅司 著、講談社現代新書 2019年
瀬田図書館 .瀬田.本館1F開架 334.31/カマミ
資料番号:32000002295
私が高校3年の頃、通っていた高校が休校になり約3ヶ月の間学校に行けず、家の中にいる時間が多い生活を送っていました。テレビをつければ死者の数がグラフとなってニュース番組で取り上げられる毎日。1日数百人の死者、命の重さが軽く思われてしまうような日本は悲しみの多くで溢れていました。
この本に出会ったのは、高校の授業で紹介され私が気になって購入した本です。コロナが始まる前の人口減少問題を取り扱った本ですが、コロナが終息しかけている今もう一度読んでみると本当に日本各地は都道府県が維持できているか気になると思います。東北地方各県にいる出産期の女性が2015年を100として2045年には各県で50%以上減少しているということを知っていますか。この事実を受けてコロナ後どうなったのか気になりますよね。こうしたコロナ前の日本の現状や2015年段階の未来がこの本には載っています。
私たちはコロナにより、多くの人を失いました。このままだと自分の故郷までも失ってしまうかもしれない。そうならないためにも1度この本を読んで、日本を知っておくべきではないでしょうか。
社会学部 3年生 塚本 瑠惟
カフカ 著、丘沢静也[訳]、光文社古典新訳文庫 2007年
瀬田図書館 .瀬田.本館1F文庫 081/コウフ/Aカ-1-1
資料番号:31500034011
「ある朝、グレーゴル・ザムザが不安な夢から目を覚ましたところ、ベッドのなかで、自分が途方もない、虫に変わっているのに気が付いた」。そんな出だしから始まる、フランツ・カフカ「変身」。このお話では、ある日を境に虫になってしまった主人公と、その家族を中心に物語が展開していきます。 不条理文学として有名な『変身』ですが、そんな不条理なことが私たち皆に降りかかってきたのがコロナ禍ではないでしょうか。
人は誰しも時間の流れとともに変わっていってしまいます。昔は嫌いだった野菜が食べられるようになったり、逆に昔は触れた虫を気持ち悪く感じるようになったり。 今まで、グレーゴルに養われる立場にあった家族たちが手に職をつけ、自立した時、部屋で丸まることしかできないグレーゴルのことをどう考えるでしょうか。
「変身」というタイトルのように誰もが変わっていってしまう、私がコロナ禍の間に読んだ深く考えさせられる作品です。
農学部 4年生 馳川 朝風
『医師が教える新型コロナワクチンの正体:本当は怖くない新型コロナウイルスと本当に怖い新型コロナワクチン 』
内海聡 著、ユサブル 2021年
瀬田図書館 .瀬田.本館2F開架 498.6/ウサイ
資料番号:32200007342
私が紹介する本は「新型コロナウイルスの正体」という本だ。この本は2021年、コロナウイルスの脅威的な感染力等が話題になった時期に出版された。著者は内海聡で出身は兵庫県、筑波大学医学専門を経て、現在クリニックの院長を務めている。この本では、国民の知らないPCR検査の実態や、政府によるコロナウイルスの印象操作、コロナウイルスがいかに貧弱で有るか等を医学の基礎知識を交えて解説している。また、外出自粛等の政府の政策がいかに国民を苦しめたかが、データや図などを用いて表されているため、理解しやすく、誰にでも取りつきやすい一冊となっている。その為、コロナウイルスの真実やPCR検査等の実態を知りたいと思う方々におすすめの一冊となっている。
短期大学部 1年生 永田 翔
来・ぶらり68号(2023.9)