龍谷大学図書館ウェブマガジン

2024(令和6)年3月発行

巻頭言

  「龍」と「辰」 
  龍谷大学図書館長 竹内 真彦

 

 ことさらに言うまでもなく、日常にはさまざまな「謎」が潜んでいます。普段せわしなく動き回っている私たちは、そのほとんどに気づくことさえなく日々を過ごすわけですが、今回はそのような「謎」の一つについて考えてみましょう。

 今年(2024年)は「辰(たつ)」年です。これに、動物として(空想上の動物ですが)「龍」を当てるのは、読者諸兄ご存じの通りですが、それは「なぜ」でしょうか? 

 実は、この疑問に対する「解」は現在に至るまで得られていません。「十二支」にネズミから始まる動物を当てるのは競走の結果なのだ(そしてネコはネズミに騙されて脱落したのだ)、という説話は多くの人がご存じかと思いますが、これは十二支と動物を対応させるようになってから生み出された説話であり、この説話にそって「辰」と「龍」が対応したわけではないのです(タイやベトナムではウサギの代わりにネコが入るのも、この説話が後付けであることの証拠となるでしょう)。

 しかし、「辰」と「龍」がいつ対応したのか? という「謎」についてはある程度の「解」があります。中国の王充(西暦27-97?)という人物の著した『論衡』という書物が、現在発見されている最古の例と言えます(十二支と動物を対応させることはさらに3百年近く遡ることができますが、その資料では「辰」が何に対応するかは不明です)。

 ちなみに、「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」という十二字を一組とすることはさらに古く、今から3千年以上前に用いられていた甲骨文字の時代から存在していたことが確認されています。しかし、その時代は動物と結びついていたわけではありません。

 年賀状に象徴的に現れるように、現代日本でも「十二支」は動物と不可分のものとして理解されていますが、元々は結びついていなかったわけです。

 ここに新たな「謎」が生まれました。それでは、「十二支」と動物は「なぜ」結びついたのでしょうか?(本稿ではこの問題については深入りしませんが)

 

「謎」が「謎」を呼ぶ。推理小説のオビではありませんが、大学における「学び」では、しばしばこのような状況に出逢います。大切なのは、その「謎」の「解」を求める主体は誰でもない自分なのだという感覚です。そして、図書館は「解」を求めるための大いなるアシスタントとなってくれます。

 そもそも、ここまで私が書き進めて来たことも鵜呑みにすべきではないのかも知れません。本当にタイやベトナムではネコが入るのか? 王充の『論衡』という書物は本当にあって、あったとしても「辰」と「龍」の関係はどこに書いてあるのか? 是非、図書館へ足を運んで確認してみてください。

 

 最後にもう一つ「謎」を。「龍谷」の「龍」はどうして「龍」なのでしょうか? 

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