龍大生のお薦め本

龍大生のお薦め本をご紹介いたします。

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『古代中国の24時間:秦漢時代の衣食住から性愛まで』

柿沼陽平[著]中央公論新社 2021年
古代中国の24時間

 

 

 

 

 

 

 

 私が今回お勧めしたい本は柿沼陽平氏の著作である『古代中国の24時間:秦漢時代の衣食住から性愛まで』という本です。この本は中国古代の秦・漢の時代を生きた人々がどのような暮らしをしていたかをテーマごとに述べている本です。テーマは衣食住から仕事、結婚、娯楽など多岐にわたります。通常歴史学の本は内容が専門的で読む人が限られるというものが多いですが、この本は中国古代についてあまり知らない人でも読み物として楽しめるものとなっているのが大きな特徴です。また、著者が数年を費やし、出土史料を綿密に調査したうえでこの本を書いていることから、書かれている内容は妄想ではなく根拠のあるものとなっています。そのため、歴史学を研究している人にもお勧めすることができます。図書館にも置いてあるので、皆さんぜひこの本を手に取り読んでみてください。

文学部4年生 今井 大地

深草図書館
深草.文庫・新書
081/チユウ/2669
資料番号 12100031298

『三日間の幸福』

三秋縋 [著]  KADOKAWA 2013年

 

 残りの人生をお金に変えられるなら自分の価値はいくらだと考えますか?
 主人公の“クスノキ”はお金に困り、噂で聞いた寿命を買い取ってくれる店へ足を運んだ。自分自身に価値があると思い込んでいたクスノキだったが、提示された査定価格は一年につき一万円、余命は三十年と三ヶ月と予想とは桁違いの結果となった。未来を悲観したクスノキは寿命の大半を売り払い、三十万片手に残りの三ヶ月間を過ごすこととなった。そんな彼の前に現れたのは監視員の“ミヤギ”。残りの寿命を一緒に過ごすうちに互いに惹かれあっていくが、クスノキの寿命は縮まっていくばかりだった。
 人生の価値はお金では決められない。どんなに悲惨な人生でもどんなに有意義な人生だったとしてもその対価はお金ではなく、自分自身の心の中にある幸福だと私は考えます。主人公の考える三日間の価値とは一体何なのか、彼が得た残りの寿命の中できっと答えが見つかるのではないでしょうか。

心理学部2年生 篠川 倖


深草図書館
深草.学生選書
081/2021/53
資料番号 12100021981

『ニーチェ入門』
竹田青嗣[著] 筑摩書房 1994年

 

 ニーチェといえば、『神は死んだ』とか、『深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている』などインパクトの強いフレーズを残していることで有名だが、ニーチェがどのような思想であったかを理解している人は多くはないだろう。私も、本書を読むまではただニーチェを「かっこいいことを言う人」だと認識し、それ以上のことまでは知ろうとしなかった。本書を読むのは少々難解な部分もあるが、とりわけニヒリズムに陥りがちな現代人には本書を読んでみてほしい。そして本書を読み、少しでも彼について興味を持てば、ニーチェの代表作でもある『ツァラトゥストラはこう言った』、『善悪の彼岸』などにも挑戦してほしい。彼の残した概念は、現代社会にも色濃く残っていることがわかるだろう。

経済学部1年生 田邊 翔和

深草図書館
深草.文庫・新書
081/チクマ/8
資料番号 10505083825

瀬田図書館
瀬田.自動化書庫
081/チクマ/8
資料番号 31400005797     

『あやうく一生懸命生きるところだった』

ハ・ワン[文・イラスト] 岡崎暢子[訳]  ダイヤモンド社 2020年
あやうく一生懸命

 

 

 

 

 

 

 

  皆さんは、頑張って生きているのに不安を感じますか?または、絶えざる選択の連続に悩んでいますか?このような悩みがある方におすすめしたい本です。
 本書では、社会が定義する成功が必ずしも個人の幸福を保障するものではないと主張します。それに加え、自分が望む人生と幸せを探求するために社会的期待と規範に従わず、自分のやり方で生きていくことが重要だと記しています。努力をすることを無理強いするのではなく、ただ力を抜いて自分の速度に合わせてやればいいということをキーセンテンスとして書かれています。時間に追われる現代人に必要な休息と自己省察の時間を提供してくれる本です。これにより、皆さんが本当の幸せを見つけることを願っています。
 人生は選択の連続です。ただ、その時に正しいと思ったものを選んで進めばいいのです。厳しい世の中で一生懸命に生きている皆さんを応援します!
각박한 세상 속에서 열심히 살아가는 여러분들을 응원합니다! 화이팅!

経営学部3年生 李 秀彬

瀬田図書館
瀬田.本館B1開架
159/ハワア
書籍番号 32100010710

『検事失格』
市川寛[著] 毎日新聞社 2012年
検事失格

 

 

 

 

 

 

 

 理想を抱いて検察官の道に進んだはずの青年が、歪んだ検察組織に呑まれる。
 本書は、正義を目指して検事になったが、検察の闇と組織の圧に葛藤し、捜査の中で暴言を吐き冤罪をつくり出してしまった元検事が、自ら犯した罪の懺悔をノンフィクションで綴った一冊です。
 有罪率99.9%を誇る日本の検察は「間違ってはならない」「検察は99.9%正しい」という強迫観念から、検事や検察庁のメンツがつぶれることを恐れて無罪判決を避けようとする。そのためには被告人に拒まれようが何がなんでも自白調書をとらなければならない。そのような殺伐とした環境の中で、理想に燃えて検察官になったはずの著者が罪を重ねていく過程が生々しく描かれています。
 日本の大きな組織である「検察庁」で何が起こっているのか。法律を学んでいる人だけでなく、法学とは無縁な人、検察=正義というイメージを持つ人にも読んでほしい一冊です。

法学部3年生 北島 京香

深草図書館
深草.8号館閉架B1
327.13/イヒケ-J
資料番号 11205046631

『深夜特急』
沢木耕太郎[著] 新潮社 2020年
深夜特急

 

 

 

 

 

 

 

 インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行ってみたい――。ある日そう思い立ち、仕事を全て投げ出して旅に出た沢木耕太郎さんの紀行小説です。約50年前の作品ですが、今もなお旅のバイブルとして多くの人々に読まれています。
 この本の魅力は、通常ではあり得ない体験が描かれているところにあります。沢木さんが遭遇する人や風景、内面的な変化にふれることで、私たち読者は自分が体験しているかのような臨場感を味わうことができるのです。
 各国の社会情勢や物価が著しく変動し、スマホひとつでなんでもできるようになった現代ですが、この本を読んでいると、自由への渇望や未知の世界に対する好奇心は、いつの時代も変わらぬ普遍的なものなのだと感じさせられます。この本を通して、旅をすることの本質的な面白さを感じて欲しいです。 

政策学部3年生 石尾 空良

深草図書館
深草.文庫・新書
F/18
資料番号 12000009117



『罪と罰』
ドストエフスキー[著]亀山郁夫[訳] 光文社古典新訳文庫 2008年

罪と罰

 

 

 

 

 

 

 

 
 ロシア文学の傑作小説として知られる本書は、主人公が殺人を犯すところから始まります。
彼は人間には凡人と非凡人がおり、非凡人は大義のために罪を犯しても大丈夫だと主張しました。しかし事件を担当する判事のポルフィーリイや娼婦のソーニャと出会い物語が進んでいく中で自分が凡人かもしれないといった葛藤や罪の意識に苛まれることになります。
 物語終盤、自分を特別な存在と信じて罪を認められない彼は悪夢にうなされます。そこでは未知の病原菌が流行っており、それに罹ると正しいのは自分だけだと思い込み、他人の意見を軽んじるようになる。その結果、人類はお互いを理解できなくなり殺しあいに発展し世界が滅亡するといった内容でした。
 夢から覚め“病”からも全快した彼は、泣きながらソーニャの手を取り、新しい人生を歩む決意をし物語は幕を閉じます。
 昔に書かれた作品ですが、現代でも参考になる考え方が学べると思います。人間関係だけでなく、世界でも争いが絶えない中で私たちは知らず知らずのうちに“病”に罹っているのかもしれません。

国際学部3年生 秦 光信

深草図書館
深草.文庫・新書
081/コウフ/4Aト1-7
資料番号 11000038874

瀬田図書館
瀬田.本館1F文庫
081/コウフ/Aト-1-7
資料番号 31500031121

『エネルギー・トランジション 2050年カーボンニュートラル実現への道』
橘川武郎[著] 白桃書房 2024年
エネルギートランジション

 

 

 

 

 

 

 


 昨今のエネルギー問題について政府が発表した内容を皆さんは覚えていますか?現在の目標の基準とされる2021年に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」の内容を知っていますか?本書はその計画立案に際し設置された委員会の参加メンバーである橘川氏の著書です。
 メディアでは脱炭素、カーボンニュートラルという聞こえがいいキーワードの裏に原子力発電所の稼働期間延長、高騰する化石燃料、自動車産業関連の雇用喪失などのマイナスイメージの情報が散見されます。この本では橘川氏が昨今のエネルギー問題に対する本人の危機感と意見や今の日本の現状、目指すべき目標、具体的な案までを様々なデータをもとに述べています。加速する情報化によってエネルギー問題に対し様々な意見が散見され、ときに虚偽が含まれる中でこれほど信用できる内容はなかなかないと思います。ぜひこの問題に対するみなさんの持つ様々な意見の参考にしてください。


先端理工学部3年生 北村 孟宏

瀬田図書館
瀬田.本館2F開架
請求番号 501.6/キタエ
資料ID 32405015451

『数えないで生きる』
岸見一郎[著] 扶桑社 2023年

 数えないで生きる

 

 

 

 

 

 

 

 生きることが苦しい、この先どうすれば良いか分からない、この幸せな時間がずっと続けばいいのに……そう思ったことはありませんか。私たちは無意識に数えることに慣れてしまっています。残りの人生について考えたり、「時間がない」と焦って時間を止めたくなったり、過去に戻りたいと考えたり。無意識に時間軸や、次元で物事を捉えてしまうからこそ、思考を転換し、他の視点から物事を見つめる。そうすることで、日々を価値あるものにすることができます。

 「これから先の人生に何事も起らないかのように人生設計をすることはできない。『今ここ』を生きていないので、先の人生が見えるような気がしているだけである。」私はこの文から、先のことをどれだけ不安に思っても、先のことは変わらず、「今」に不安が残るだけだと気づき、「考えるだけ無駄、今を精一杯生きることが大切だ」と思いました。考えすぎてしまう人にとって、心の拠り所になる一冊です。

社会学部3年生 宇野 姫愛

瀬田図書館
瀬田.本館1F
081/フソウ/470
請求番号:32300006115

『また、同じ夢を見ていた』
住野よる[著] 双葉社 2016年

また同じ夢を見ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さんは幸せについて考えたことはありますか?」
この本の主人公の小柳奈ノ花は「幸せ」について考える授業をきっかけに「幸せ」が何なのかについて考えるようになりました。
 奈ノ花は読書が大好きで、論理的に物事を考えられる賢い小学生ですが、はっきりとものを言うためクラスでは浮いており、学校には友達がいませんが、少なからず学外に四人の友達がいます。そんな中、彼女の日常に誰にも起こりえるような些細な出来事が起こりますが、学外の友達にアドバイスをもらいながら、彼女はどんな事でもしっかりと向き合っていきます。そして問題が解決すると姿を消してしまう友達たち。
いったいどこにいってしまったのでしょうか?
読後は幸せとは何なのかということについて考えさせられ、それと同時に奈ノ花が様々な友達と話していく中で、読んでいるととても温かい気持ちになります。
本書は、悩みや生きづらさを感じているときに読むと、少なからず前向きな気持ちになれる小説だと思います。ぜひ、一度手に取って読んでみてください。

農学部3年生 瀬川 高広

瀬田図書館
瀬田.本館B1階開架
913.6/スヨマ
資料番号 31700015477

『罪を犯した人々を支える―刑事司法と福祉のはざまで』
藤原正範[著]  岩波書店新赤版 2014年

罪を犯した人々を支える

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は卒業論文で社会的孤立について取り組んでいます。文献レビューでこの本と出逢い、様々なことを知ることができたので、皆さんにもお勧めさせていただきます。 私が最もお勧めしたい部分は、タイトルにある刑事司法と福祉の関わりを知ることができる点です。司法領域で活動するソーシャルワーカーは「司法ソーシャルワーカー」と呼ばれます。障害者福祉サービス利用者が放火を行い逮捕された事例で、刑事司法と福祉の関わりについて学びました。
 この事例では執行猶予判決を求める情状の立証として父親に出廷してもらい「よく監督します」と証言してもらうか、書面で提出するという方針が当初立てられました。しかしそれを行うことが困難で、司法ソーシャルワーカーが作成する「支援計画書」が日本で初めて係争事の証拠として採用されました。判決理由に支援計画書は大きく反映されました。ぜひ皆さんにも読んでみてほしいと思います。

短期大学部2年生 高橋 瑞葵

深草図書館
深草.文庫・新書
081/イワナ/2014
資料番号 12400008673