コロナ禍は、2020年度から2022年度を中心に3年以上にわたり世界中を席捲しました。大学も例外でなく、キャンパスが閉鎖され俄かにオンライン授業が展開されました。大学図書館も、コロナ禍の中で大きな影響を受けましたが、利用者支援のために様々な新たな取り組みを展開しました。それらの取り組みは、コロナ禍に限定したものもあれば、コロナ禍を契機として普及したものもあります。コロナ禍の図書館の対応を振り返ることは、新たな図書館サービスの展開を確認することでもあります。
コロナ禍の始まった2020年度前期の図書館の対応として、『来・ぶらり』(62号)で、道元館長(当時)は次の5点を挙げられています。
1.来館せずに利用できる図書館サービスを一覧にして紹介
2.Web申し込みによる郵送/取り置きサービスの提供
3.電子書籍の試読およびリクエスト機能の開始
4.電子図書館サービス「LibrariE(ライブラリエ)」の導入
5.データベース・電子ジャーナル・電子書籍の閲覧範囲の拡大
この時期の図書館は、新学期以降は閉館状態が続き、6月1日から滞在時間制限内での入館が再開されました。なお、コロナによる閉館により資料の返却が出来ず延滞が発生した場合には、罰則を免除する措置をとり、利用者の不利益にならないよう配慮しました。感染症対策として、返却された本は2日間返本台に留め置く処置を取り、カウンタ―には感染予防の透明ビニールシートが設けられました。COCOCHI(書籍消毒機)を設置し、目に見えない雑菌の除去、除菌、消毒に対応しました。また席数を制限した閲覧席には、図書館職員による手作りパーテーションが漸次設置されていきました。
2020年度第1学期は、キャンパスでの対面授業は実施されなかったため、対面での図書館オリエンテーションも実施されませんでした。このため、図書館オリエンテーション動画を図書館HPに掲載し、利用者教育を展開しました。展観・展示のWeb化、オンライン対応の推進も積極的に図りました。
閲覧席の利用が制限されていることから、当初はTwitterで混雑状況をお知らせしていましたが、2021年3月下旬からは、館内の混雑状況を数値化し、図書館HP上にリアルタイムで表示されるシステムを構築し、館内混雑状況の「見える化」を実現しました。
2020年4月から、貴重資料画像データベース「龍谷蔵」の学内教職員からの公開依頼を受けつけました。対象資料は本学大宮図書館所蔵の古典籍資料等の和装本で未公開のものに限られましたが、この取り組みは、新型コロナウイルス感染症対策に伴う授業開始延期やオンライン化に可能な限り対応するための図書館の学習支援の具体例といえます。
学生協働の取り組みも2020年度からオンライン化に対応しました。2020年度のライブラリーサポーターの募集はオンライン動画で行われ、任命式もオンライン上で行われました。従来は市内の書店に出向いていた学生選書もWeb上での「学生Web選書」のかたちが導入されました。2020年度、2021年度には、手探りでオンライン・ビブリオバトルを開催し、2021年度には、「大学ビブリオバトル・オンライン大会2021」に本学から初の全国大会への出場を果たしました。
来・ぶらり68号(2023.9)