毎年、大宮図書館では、大宮図書館が所蔵する貴重資料及び古典籍資料を展示公開する特別展観を開催しています。テーマも文学分野、自然科学分野、浄土真宗分野など様々なテーマに及んでいます。展観の歴史は古く、確認できるだけでも昭和20年代(1950年前後)の記録があり、これまで学内外の多くの方に見学いただいてきました。
2020年初めから始まったいわゆるコロナ禍は、展観の開催にも大きな影を落としました。コロナウイルス感染防止の面から、従来開催してきた対面展示は難しい状況となり、一時は展観の開催自体を見合わせることも検討されました。
しかしながら、このままでは学生の皆さんをはじめ多くの方が、図書館の貴重資料や古典籍資料を目にしないまま過ごしてしまうことになることから、ステイホームでも展観を楽しむことができるWeb展観を開催することにしました。2020年度から始まったWeb展観は、2021年度、2022年度と3回開催することができました。
今回「コロナ禍でのWeb展観」として、2020年度から2022年度のWeb展観を振り返ってみたいと思います。
・2020年度
2020年度展観は、対面展観の開催は見合わせ、Web上で展示をするWeb展観に切り替えることになりました。テーマは、本学名誉教授であり、仏教史学並びに仏教書誌学の研究者として知られる禿氏祐祥(とくし ゆうしょう)先生(1879~1960)の没後60年を記念して、「禿氏祐祥~知の先人~」を開催しました。先生の業績を振り返るとともに、先生の旧蔵書である「禿氏文庫」に収蔵される貴重資料等をWeb上で展示し、先生の研究の一端を紹介しました。
(Web展観アドレスhttps://opac.ryukoku.ac.jp/iwjs0005opc/htdocs/2020_tokushibunko_prod/index.html)
図書館にとっても初めてのWeb展観であり、通常の展観とは異なることから、Webで展示された資料は、そのほとんどを全ページ閲覧できるようにしました。加えて、海外の方にもご覧いただけるよう一部の頁には英訳も付けました。また、対面展示が出来ない分、本館での展示風景などを動画に収め、少しでも通常の展示の雰囲気を味わっていただけるようにしました。
・2021年度
2021年度展観は、コロナ禍が続いたため、2020年度と同じく、Web展観での開催になりました。テーマはコロナ禍の世相を反映して、「病と生きる」を開催しました。展示は、病を信仰の面、記録の面、文学の面、治療の面から捉え、仏教経典や歴史書、物語などの文学作品、医学書などを展示しました。
(Web展観アドレスhttps://opac.ryukoku.ac.jp/iwjs0005opc/htdocs/2021_yamaitoikiru_prod/index.html)
2年連続でWeb展観のみの開催となりましたが、世相を反映したテーマであったことや、Web展観では見たい資料のほとんどが全ページ閲覧できるといったことが評価されたようで、お陰様で多くの方々に閲覧していただくことができました。
・2022年度
2022年度の展観は、コロナ禍が収まりつつあったことから、久しぶりに対面展観を再開させることになりました。とは言え、未だコロナ禍が終息したわけではなかったので、Web展観も合わせて開催することになりました。テーマは、2022年2月末から始まったロシアによるウクライナ侵攻などから、「戦(いくさ)と平和」を開催しました。
(Web展観アドレスhttps://opac.ryukoku.ac.jp/iwjs0005opc/htdocs/2022_ikusatoheiwa_prod/index.html)
展示は、「戦(いくさ)を記す」「戦(いくさ)を語る」「平和への思い」の3章立てとし、古代から江戸時代までの戦の記録や軍記物語などの文学作品、仏教や儒教、道教などによって説かれた平和に関する資料などを展示しました。
・これからの展観について
コロナ禍により始まったWeb展観の3年間を簡単に振り返りましたが、対面展観の再開により、やっと実物の貴重資料を見ることが出来たという声をたくさんいただいた他、Web展観では、展示箇所しか見学できない対面展示と違って、興味のある資料を最後のページまで閲覧することができるのが嬉しいといった声も頂きました。
Web展観と対面展観のそれぞれに長所を持っています。
(Web展観アドレスhttps://opac.ryukoku.ac.jp/iwjs0005opc/htdocs/2023_murasakishikibu_prod/index.html)
今年度の展観は、紫式部をテーマにした「〈紫式部〉の物語」を開催いたします。(2023年10月12日(木)~19日(木)開催予定)
今年度もWeb展観と対面展観の両方で開催を企画しています。図書館の貴重資料や古典籍資料を両方の展示でご覧いただければ、より詳しく分かると思います。
来・ぶらり68号(2023.9)