龍大生のお薦め本

龍大生のお薦め本をご紹介いたします。

『海と毒薬』

遠藤周作[著]改版 新潮社 1986年

深草図書館:和顔館2F開架文庫・新書 F/18
資料番号:10010042130



 本書は第二次世界大戦末期、九州の病院で実際にあった生体解剖事件をモデルにした小説です。

 米軍捕虜に対する人体実験という非人道的行為が、戦時中の病院における日常の延長のように淡々と描かれています。作中で何度も言及される「本当にみんなが死んでいく世の中」であること。病院で息を引きとるか、夜ごとに空襲で死んでいくか。そんな中で「人の死」に対する感覚が変化し麻痺していく様子は、タイトルにある通りまさしく毒薬のようです。

 筆者は本書を通して「日本人とはいかなる人間か」を問いかけています。例えば、周囲に流されて行動したことは、誰もが経験のあることだと思います。それがもし世間一般で言う悪い行為であった場合、恐れるのは世間からの罰か、それとも良心の呵責でしょうか。行動規範や倫理観の指針を宗教上の神とするならば、無宗教と言われる日本人は誰に裁かれるのか。

 戦争と日常、罪と罰について問い直すきっかけとなる作品です。

文学部3年生 北村 絢音

『神様のカルテ』

夏川草介[著] 小学館 2009年

深草図書館:和顔館開架2F 913.6/ナソカ/1-3
資料番号:11010005454
瀬田図書館:本館B1F開架 913.6/ナソカ/0-3
資料番号:31900023038


 人は1日に約3万5000回もの選択を迫られている、という話はよく聞くだろう。選択の重さは人それぞれであり、今日の昼食はなんにしよう、という些細なものから、この法案で提出しよう、という重大なものまで様々だ。
 その中で、日常的に重い選択と決断をし続けている人がいる。それが医療関係者の方々である。このお話は、地方病院の医師である栗原が、患者や仲間や家族との関わりを通して、どの選択をすれば「良い医者」になれるのかを模索する物語である。家族か仕事か、一人を助けるか大勢を助けるか。正解がない中から、治療方針という正解を提示しなければならない医者の、苦悩と葛藤や人間臭さが、現役の医師である夏川草介氏によってリアルに描かれている。

 愛読書が夏目漱石の『草枕』であるという、少し変わった栗原の漱石被れの語り口調が、この医療ドラマを優しく包み込む、重厚ながらも親しみやすい作品になっている。ぜひ手に取って読んでもらいたい。

心理学部1年生 小川 心温

『自分の中に毒を持て : あなたは"常識人間"を捨てられるか』

岡本太郎[著] 新装版 青春出版社 2017年

深草図書館:8号館閉架3F 159/オタシ-C
資料番号:12105021003


 私が学生選書として推薦する本は、岡本太郎著『自分の中に毒を持て』です。

 この本は、岡本太郎が「本当に生きるとはどういうことか」を力強い言葉で語った一冊です。
「人生をかけろ。危険にとびこめ。それが生きているということなんだ」という言葉が特に印象に残りました。自分らしく生きることは大切だと誰もが思いますが、本書を読んで、それは決して楽なことではなく、自分を貫く覚悟が必要な「戦い」なのだと気づかされました。だからこそ、そのように生きられたらと思わずにはいられません。
 近年はSNSで「生きているだけでえらい」「つらいことはやらなくていい」といった優しい言葉を目にする機会が増えました。しかし、本書は現状に満足せず、自分の可能性に挑戦する勇気を与えてくれます。

 これから自分の意思で多くの選択をしていく大学生に、ぜひ読んでほしい一冊です。

経済学部1年生 塚本 心結

『ルーズヴェルト・ゲーム』

池井戸潤[著] 講談社 2012年

瀬田図書館:本館B1F開架 913.6/イシル
資料番号:31205035632


 『下町ロケット』など有名な作品を手がけた小説家、池井戸潤が手がけるスポーツやそれにまつわる社会を舞台にした小説です。

 あらすじとしては、大手ライバル企業の攻勢を受け、業績不振にあえぐ青島製作所を舞台にした物語です。リストラが始まり、歴史ある野球部の存続を疑問視する声が上がるなか、かつての名門チームもエース不在で崩壊寸前の状況に陥ります。社長、選手、監督、技術者たちは、それぞれの人生とプライドを懸けて、この苦境からの逆転に挑みます。
 物語序盤から、野球部廃部の危機、監督とエースの引き抜き、人員削減、おまけに新しい監督は元高校野球の監督と絶望的な状況が続いていきます。しかし、そんな絶望から巻き返すのが、この作品の特徴です。

 今何かにぶつかっている人、息苦しい現状がある人にこそ、特におすすめしたいです。取られたら取り返す、ルーズヴェルト・ゲームの最後を是非読んでみてください。

経営学部3年生 田中 優大

『三体』

劉慈欣[著] 大森望, 光吉さくら, ワン・チャイ[訳] 早川書房 2019年

深草図書館:8号館閉架3F 923.7/リシサ-U
資料番号:11905035006
瀬田図書館:本館B1開架 923.7/リシサ/1
資料番号:32000005106


 私がおすすめしたい一冊は、劉慈欣の『三体』です。「宇宙人対地球人」という一見ありふれた題材でありながら、中国の文化大革命、最先端の科学技術、そして「人類とは何か」を問いかける哲学的なテーマが、圧倒的なスケールで描かれるSF作品です。

 物語は史実に基づく重厚な描写から始まるため、SFでありながら驚くほどの現実味があります。さらに、人類は異星文明と対峙するだけでなく、科学技術の発展そのものを妨害されるという絶望的な状況に置かれます。この斬新な設定と予想を裏切る展開の連続は、一度読み始めると先が気になってページをめくる手が止まらなくなるほどです。

 じっくりと世界観に浸れる物語を探している人はもちろん、「SFは難しそう」と感じている人にもぜひ手に取ってほしい一冊です。圧倒的なスケールと緻密な世界観が織りなす物語を、ぜひ体感してみてください。

法学部3年生 松井 瑞季

『これもまた別の話』

和田誠, 三谷幸喜[著] 新潮社 2010年

深草図書館:和顔館2F開架文庫・新書 F/18
資料番号:11000009058



 趣味が映画鑑賞の人は必読!!!

 あの人気ドラマ「古畑任三郎」の脚本家である三谷幸喜さんと日本初のイラストレーターの和田誠さんによる『それはまた別の話』の続編。2人の激アツ対談が繰り広げられます。
 誰もが一度は鑑賞したことがあるであろう「JAWS」や「タイタニック」、「男はつらいよ」をはじめとする有名映画についてとことん語りつくします。演出や俳優、女優、セリフの一つ一つについてなど私たちは普段あまり注目していない脚本家や映画監督ならではの視点で映画について解説。今まで気が付かなかった映画の意外な一面を知れて、映画本編を面白さがよりわかる一冊になっています。
 読み進めるにつれて思わず「そうだったんだ!」「知らなかった」と声が漏れること違いなし!私は本書を読んでもう一度映画を見返したくなりました!!

 今までとは一味違う映画鑑賞をするためにぜひ本書を手に取ってみてください。

国際学部1年生 杉若 恋湖

『人魚の眠る家』

東野圭吾[著] 幻冬舎 2015年

深草図書館:和顔館2F学生選書 081/2017/46
資料番号:11700055062



 東野圭吾の『人魚の眠る家』は、命の重さや家族の愛について深く考えさせられる作品である。事件の謎を追うミステリーではないが、登場人物の葛藤や心理描写が巧みに描かれており、その後の展開が気になって一気に読み進めることができた。

 本書の最大の魅力は、読者自身が物語の当事者となり、「もし自分だったらどうするか」と考えさせられる点である。延命治療や臓器移植といった正解のない問題に向き合う家族の葛藤が丁寧に描かれており、それぞれの立場や思いに共感しながら読み進めることができる。

 物語を読み進めるにつれて、「生きるとは何か」「家族として最善の選択とは何か」を考えさせられ、自分の価値観が大きく揺さぶられた。読了後も様々な問いが心に残り、自分の生き方や大切な人との向き合い方について改めて考えさせられた。大学生である今だからこそ、多様な価値観に触れ、命や家族について自分なりの考えを深める機会を持つことは重要である。

 本書は、そのような問いに向き合うきっかけを与えてくれる一冊であり、多くの人にぜひ読んでほしい作品である。

社会学部2年生 上野 凜香

『一九八四年』

ジョージ・オーウェル[著] 高橋和久[訳] 新訳版 早川書房 2009年

大宮図書館:2F学生選書コーナー 081/2017/43
資料番号:21700039931
瀬田図書館:本館B1F開架 933/オシセ
資料番号:31900003956


 もしも世界が全体主義に染まれば、それはどんなディストピアなのだろうか?

 1949年に刊行された本作は、50年代に核戦争が勃発し、大規模に支配体制が変革した架空の未来社会を描いています。世界は三大国に分割統治され、舞台となるオセアニアでは一党独裁体制の下、国民が不自由と不平等な支配を受けています。過去の真実は意図的に改竄され、何が正しいのか何が実在するのかも曖昧な社会を、ウィンストン・スミスという一人の男性を中心に語られます。

 本作は、全体・管理主義の不公正さを指摘する意図が読者に捉えられ、二十世紀以降の政治世論にも大きな影響を与えてきた、二十世紀英国小説の名著として知られます。近年、世界情勢における権威主義に対する懸念が広く抱かれるようになってきました。その表れとして、フランスでも昨年からベストセラーになっています。

 大学生として政治や社会の在り方について考えるきっかけとして、本作を手に取ってみてはいかがでしょうか。

政策学部1年生 橋本 紘希

『君の膵臓をたべたい』

住野よる[著] 双葉社 2015年

深草図書館:和顔館開架2F  913.6/スヨキ
資料番号:11500050541
瀬田図書館:本館B1開架  913.6/スヨキ
資料番号:31500038584


 この作品は、膵臓の病気で余命わずかなクラスメイト・山内桜良と、彼女の秘密を知った孤独な少年「僕」が、限られた時間を共に過ごしながら互いに成長していく青春小説です。

 一見すると衝撃的なタイトルですが、読み進めるほどにその言葉に込められた本当の意味が明らかになり、読み終えたときにはタイトルの印象が大きく変わります。また、明るく前向きな桜良と、人との関わりを避けてきた「僕」という正反対の二人が少しずつ心を通わせていく姿も、この作品の大きな魅力です。

 私たちは、明日も今日と同じように過ごせると思いがちですが、「1日の価値は誰にとっても等しい」という桜良の言葉から「人はいつ何が起こるか分からない」という当たり前だけれど忘れがちなことを改めて気づかせてくれます。だからこそ、何気ない日常や大切な人と過ごす時間の尊さを強く感じられます。

 読み終えたあと、きっと今までとは少し違った気持ちで毎日を過ごしたくなる、そんな一冊です。

農学部4年生 山本 麻央

『老人と海』

ヘミングウェイ[著] 高見浩[訳] 新潮社 2020年

深草図書館:和顔館2F開架文庫・新書  F/18
資料番号: 12000009128



 メキシコ湾流で漁をしていた老漁師サンチアゴは84日間魚が1匹もとれなかった事から、周囲の人から不運のどん底にいる人だと呼ばれていました。ですが彼を慕っている少年マリーンの思 いを聞いて、今のままではいけないと決心したサンチアゴは、いつもより遠い沖合まで漁に行くと初めて見るとても大きなカジキと出会い、カジキとの壮絶なバトルが始まります。

 私はこの本を読んで周囲から不運だと呼ばれていたサンチアゴが、今のままではいけないと、環境を変えようと行動する事と、物語のサンチアゴの結末がとても印象に残りました。

 また、この本は1954年のノーベル文学賞をヘミングウェイが受賞する要因になり、ヘミングウェイのストーリーテリングが高く評価されました。ノーベル文学賞の本に興味のある方や日常的に本をあまり読まない方にもおすすめです。

 ぜひ手に取って読んでみてください。

先端理工学部2年生 北村 一喜