大宮図書館には、国宝『類聚古集(るいじゅうこしゅう)』、国指定重要文化財『念仏式(ねんぶつしき)』、『李柏尺牘稿(りはくせきとくこう)』をはじめ、貴重資料が数多く所蔵されています。貴重資料は、学術研究や授業などに活用されている他、毎年秋に開催される大宮図書館特別展観で、その年のテーマに関係したものを選んで、展示公開しています。
また、本学の貴重資料画像データベース「龍谷蔵」や「ジャパンサーチ」を通じたデジタル公開にも取り組んでおり、本学所蔵の貴重資料を広く研究・教育活動に活用いただける環境の整備を進めています。加えて、貴重資料コレクションのさらなる充実を図るため、継続的に資料の収集・保存を行っています。
このたび新たに『四序歌合(しじょうたあわせ)』を購入・収蔵しました。『四序歌合』は、室町時代前期の応永9年(1402)から同24年(1417)の間に成立した、伏見宮家第2代にあたる葆光院(ほこういん)(治仁王(はるひとおう) 1371?~1417)と第3代にあたる後崇光院(ごすこういん)(貞成親王(さだふさしんのう)1372~1456)の兄弟による百番の歌合です。
歌合とは、和歌の作者が左右に分れて出題された歌題を歌に詠み、これを合せ比べて優劣を競う文学の遊戯です。つまり百番の歌合であれば、それぞれ一首ずつ計百首を競うことになります。勝負の判定をする判者(はんじゃ)は、当時の歌道家の第一人者である飛鳥井宋雅(あすかいそうが)(1358~1428)と冷泉為尹(れいぜいためまさ)(1361~1417)の二人が務め、その批評が本文に記録されています。
伝本は極めて少なく、後崇光院自筆本(巻子本)が宮内庁書陵部に所蔵されている他、江戸時代写本の肥前松平(ひぜんまつだいら)文庫本、祐徳稲荷(ゆうとくいなり)本が知られる程度です。
新規収蔵資料『四序歌合』
『四序歌合』 は、百番全体が完存している伝本はなく、後崇光院自筆本は冒頭の一番から六番が欠落しており、肥前松平文庫本・祐徳稲荷本は一番から七十番までで、七十一番から百番が欠落しています。今回収蔵された『四序歌合』は一番から七十番の本であり、肥前松平文庫本・祐徳稲荷本と同系統です。
しかしながら、書写年次は室町時代後期に遡ることは確実で、この系統としては最古写本といえます。また、宮内庁書陵部本が一番から六番を欠落していることから、この冒頭部に限れば最も古い本文を持つとものといえます。
さらに、収蔵された『四序歌合』は宮内庁書陵部本と同じく巻子本に仕立てられています。巻子本はさまざまな装丁の中でも最上位の装丁であり、その意味でも高い価値を有しています。また、古筆の鑑定をする古筆家(こひつか)による極書(きわめがき)(書画骨董品などの鑑定書)が附属しており、江戸時代から由緒正しい家に伝えられたことが推測できます。
『四序歌合』極書